採用事業部の2ヶ月を振り返る『AIタレント採用マーケティング』作戦 | HighBaller
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採用事業部の2ヶ月を振り返る『AIタレント採用マーケティング』作戦

ハイボールの金山です。僕は12月中旬から正式に採用事業部を見るようになりました。ボトルである採用を改めて強化する、立ち上げるために採用責任者に就任しました。

記事を書いてみようと思ったのは、具体的なスタートアップの採用事業部立ち上げ事例が少ないこと、そして僕自身分からないことだらけなので、現状を綴ることで採用に詳しい方と繋がりたいためです。

delyの資料はとても参考になりました。右も左も分からない僕に同じようなものを無理ですが、記録に残し、思考の整理をしていきます。取り組みは2ヶ月弱ですが、改めて僕らくらいの規模の採用立ち上げは、めちゃくちゃおもしろいことを体験的に感じています。紹介する中で魅力を伝えられたらと。

1月は認知に特化

認知 → 興味 → 応募 → 選考 → オファー → 内定という採用プロセスには、各段階で解決すべき課題があります。1月は認知向上に特化しました。現採用事業部のリソースで全てのファネルをカバーすることは不可能。認知向上は、言い換えれば僕らの得意領域であるマーケティングであり、①いいものを作って②適切な人に届ける ことです。

引用:https://business.adobe.com/jp/blog/basics/recruiting-marketing

僕らの新規事業でもあるAIマーケティングは、世の中の関心が向きやすい領域です。AIレモンを会社広報として起用することで、その希少性から多くの方が興味を示してくれました。先端技術に興味を示すアーリーアダプターは僕らにとって適切な人材になり得る可能性があります。

具体的な事例としては、Wantedlyなどの採用媒体で、レモンをカバー写真に使用した募集を出しました。ほとんどの企業が和やかに会議などをしている写真を出している中で目を惹くのではないかと…。仮説通り、異常値を叩き出して伸びました。
※ AIレモンはハイボール2人目の広報です。

また、TikTokやInsta広告でもAIタレントを活用し、非常に高いインプレッションが得られました。AIを活用することがいい!ということではなく、魅力的なカタチにすることで興味を惹くし、多くの人に会社のことを知ってもらうことができたと思っています。

僕ら1人目の広報、⁨⁩ドレッド山田は2023年1月にSNS活動を始め、1年で600万人のフォロワーを獲得しました。広報起用は彼の特性を生かす意味でも最高の決定だったと思っています。事実、1ディレクターだった彼がエンターテイナーとして世界中の人の笑顔を産み出し続けています。

個人の最大化という観点では大成功ですし、働いている人材に向き合った戦略を執行できました。しかし、彼が広報として会社のイメージが好転するような活動ができたか、実際に採用に繋がったかでいうとYESとは言えないかもしれません。そのまま料理の投稿を続ければ、今年中に1000万人を突破すると思います。でもそれにハイボールの広報としての本質的な価値があるかと言われると…。そこで、今年からドレッド山田はど素人人事になりました。このスピード感が大切と思っています。会社で作られるプロダクトは有限です。特にスタートアップはそう。どのようなカタチで届けるかを日々、大喜利的に考えていくことで少し目立った存在になれる気がします。あくまで大切なのは、モノ(本物のプロダクトや会社の魅力)であり、ヒトです。たどり着いてもらうためにカタチをどう整えていったかを書いてみました。いいモノやブランドを作ることが難しいスタートアップだからこその、マーケティング作戦です。ど素人人事は可愛すぎるので1回見てほしいです(笑)。

ディレクター5人採用

企画→撮影→編集→SNS運用を一気通貫でこなせるディレクターまたは素質がある卵のみを採用しています。ステークホルダーマネジメント、コンテンツとの向き合い、仲間とのコミュニケーション、全てのバランスが求められるので採用基準は高いですが、結果、5人のディレクターを採用することができました。

採用媒体はWantedly・CW ・AMBI を運用中、2月からリクナビも始めています。比較対象がないので数値が良いのか悪いのか分かりません。会社や業種毎に適正のある採用媒体があると思いますので、1ヶ月運用した感想と媒体毎の数値をまとめました。

Wantedly(1月)
応募数150 面談数34 Directer採用数 4

Wantedlyアナリティクス(直近3か月)

Wantedlyはディレクター経験人材より就職や第二新卒で異業種への転職を考えている人、もしくはすでにプロフェショナルとして独立されている方が多かったです。プロフェッショナルの方とはスポットで事業に向き合っていく採用がいいと感じました。4人採用の要因は、シンプルにAIタレントを起用したことで異常値的にディレクター募集が伸びたことです。今までも使用していたのですが、正直フィットする人材の採用に難航していました。分かりやすいプロダクトやコンテンツがあることで安心して働ける属性が多いのかもしれないです。逆に専門職、僕らでいうと元制作会社のDやADからの募集は少なく、スカウト機能も実装しましたがマッチしませんでした。

AMBI
応募数29 面談数15 Directer採用数 1

AMBIはスカウトで1人の方を採用することができました。実は2月に入ってからも1人を採用。ディレクター属性の方が多くいる印象で、専門性という観点で僕らの会社のようなエンタメ会社との相性がよさそうです。

Aパターン:自社からの送付
送付数※:271
面談数:23
→SNSの運用、テレビ業界での撮影、ロケハン、ロジ組などに加えて、営業など放送にかかわらない間接部署にまで拡大してスカウトを送付

Bパターン:AMBIの送付代行
送付数※:690
面談数:29
→IT系のゲームのプロデューサー、Webプロデューサーまで職域を広げてスカウトを送付

大きく応募率が変わってくるので、誰に送付していくかABしていきます。
※数値は2月送付込み

CW
応募数137 面談数38 採用数0
その他(アド含む)
応募数47 面談数19 採用数0

CWはいろんな人がいますね。ディレクターという面では採用に繋がっていません。動画編集者などは効率よく獲得できそうです。TikTokやinsta広告はLine@への動線を引いていますが、採用には繋がっていません。アドではディレクターだけではなく総務やAIタレントになりたいモデルも募集しているので今後の反応が楽しみです。また、アドを見た方が他の媒体を通して応募してくださることも興味深いです。2月もAMBIでの採用が決まりましたが、その方も広告を見て、いい会社だなと思っているタイミングで僕らからスカウトが届き、話を聞いてみることにしたそうです。アドへ前向きではありませんでしたが、複利的に認知として溜まっていく良さがあり、情報を届けたい層はTikTokやreelを見る習慣があるので、改めてコスパがいいです。

誰が採用事業を牽引するのか?

やったらきっと伸びるんだけど、企業イメージ(自分達の実像や見せたい姿)と乖離しちゃいそうという瞬間に採用マーケティングの難しさを感じます。SNS時代の今、一個の判断を誤ることのリスクは大きくなっていそうです。企業ブランディングは会社TOPにしか判断できないアートな側面があるので、立ち上げは代表または代表格が担当する方がいいし、責任者も会社の中でカルチャーを吸収し、育った人がなっていく方がよさそうです。先月CHROを募集する内容の動画を出しましたが、社内から育てることにします(笑) 僕もこの1か月は、大田に相談することが多かった。意思決定権を持っている僕も不安になり、判断できない部分の意思決定を委ねました。それくらい採用周りで外に出す情報は重みがあり、権限移譲に最も時間をかける領域なのかもしれません。なのでじっくりやっていきます。

そもそもこの記事を出すことも迷いましたが、まず知ってもらうことが大切なことと、内部の情報を出すことで採用につながるかもしれないという願いのもと書いています。

プロダクトが採用の顔になる

僕らは事業内容で惹かない、給与やインセンティブに頼らない採用を徹底してきました。”誰をバスに乗せるか“を大切にしています。

ビジョナリーカンパニー2より引用

事業は変わっても会社の成長に喜びを実感し、オモシロイものを創り続けたいと思う人と共に居たいと思っているので、ミッションや働く人に焦点を当てた発信を中心に行ってきました。しかし、それだけではコミュニティは広がりません。なのでAIタレントを顔に採用マーケティングを仕掛けてみました。元も子もないことを言いますが、プロダクトを前面に出すことで採用はだいぶ楽になりますね(笑) プロダクトが優れていることの優位性に改めて気づかされました。素手で戦っちゃってたという反省があります。結果僕らのような会社はいいモノを創って顔にし、その価値を持って人材にアプローチをかけていくのがよさそうです。ただし、事業内容やプロダクトは入り口に過ぎないので、会社の使命や文化、働く醍醐味などを十分に伝えていきます。

いいやつだけ採用

ここからはハイボールの採用が目指していきたいことを書いていきます。

最近の面談で、応募者が「Wantedlyで御社を拝見しましたが、異彩を放っており、面白そうだと思い応募しました」と言ってくれたことがありました。異彩という言葉が褒め言葉かは置いておいて、結果的に僕らの提供する情報で応募者が選別され、スクリーニングされていました。会社の様子や社員の活躍する様子を伝えることで、応募者に魅力がより具体的に伝わります。

沖縄合宿参加メンバーを紹介した記事

また、面談日程の調整フローも、会社が求める人材をスクリーニングするための良い手段になっています。僕は日程の調整や即レスを重視しています。その人の温度感やタスク完了能力、他者への気遣いなどを表す行動指標として見ています。好きな本で、人を見る技術という本があります。定量的に人を判断するための方法、それを引き出すための問いが記されています。今会社で働いてくれている人の言語化(定性)と定量的な判断の組み合わせをしていくことで会社に”いいやつ”が集まるようにしたいです。

“いいやつ”の方がハイボールぽいのですが、一般化すると適切な人材。最近は、会社にとって適切な人だったからこそ伸びた事例を紹介することが多いです。

SNSマーケティング事業部責任者の嶋田惟人。彼は現大学4年生なのですが、1月からハイボール初の執行役員に就任しました。彼は2年間の休学を決め、関西から飛び出してきて長期インターン生として働いてくれました。パソコンもない、タイピングもできない、そんな状態から2年で途轍もない成長をし、今に至ります。

同1月にCCOに就任した土方です。元々広告代理店で新卒で働いていたのですが、1年目の2月に退職し、入ってくれました。彼もまた仕事に関してはほぼ無の状態からスタート。約2年で役員になるまでの成長をしました。共通点はまさにいいやつであり、この言語化を進めていく2.3月にしたいと思っています。

組織醸成

先月こちらの記事を読み、コアファンの熱量を圧倒的に高められるかという表記を見たときに、ハッとさせられました。ここでいうコアファンというのは社員のことを指すのですが、コアファンの熱量が高ければ高いほど、その数が増えれば増えるほど、 “熱源” となって他のレイヤーに伝播し、広がっていくと書いてありました。改めて社員の熱量を高めていきたいと思える記事でした。

その中でも、働きがい働きやすさの違いには気をつけたいというのが僕の最近の気づきです。

みんなのフィードバック大全という本の中で明記されていました。

  • 動機づけ要因
    内発的なモチベーションを持続的に刺激する要素。仕事内容、責任、達成感、成果の認知、成長など、やりがいのテーマとなる。
  • 衛生要因
    不十分だと不満足につながる仕事上の要素。職場の衛生状態、福利厚生、給与、職場の場所、労働時間など働きやすさのテーマとなる

結論、会社は両方の要因を満たしていくことが健全なのですが、僕らはまだ小さく、前者によってワクワクしてくれる、熱量が高まる人材を獲得していきたいと考えています。

そこで仕組んだ施策の1つ目が”CREATORS DREAM JACKPOT”

制作やクリエイティブに関わる機材やソフトウェアは個人で買うのは高価だし、会社に買って欲しいとも言いにくい…。でも、オモシロイものを作るために使ってみたい!そんな夢を叶える企画です!

既に、Apple Vision Pro、FX6…などなど8個ほどエントリーされていました。

集中したいから、今は話しかけないで!という時のための”集中ZONE”(名前ダサいので考えたい)の設置や”強制海外出張”など試験的に色々試してみています。意見を吸い上げ、まずは数を打って、社員の満足度向上やモチベーションの維持につながる整備をおこなっています。人に勧めたくなる会社にしたいです。

マネージャー採用

マネージャーやリーダーになれる人材の採用も進めています。不在の状態で人を無闇に増やしても、組織崩壊することは予測できます。コンピテンシーや個人のポテンシャルを見極められる採用チームを構築し、リーダーとしての資質を持つ人材も積極的に採用していきたいです。

採用は自社の都合で決まらない。あまり自分たちの事業のペースや自分たちの都合を候補者に押し付けない方がいい。(急成長フェーズでの採用の考え方より引用)

全てはタイミング!その時僕らが選択肢にいるように、長期で考え、欲しい人材には積極的に声をかけていきたいと思います。

以上が、採用活動や組織づくりに関する現状の取り組みです。改善と成長を目指し、採用プロセスや組織文化の育成に努めていきたいです。少しでも話していいよと思ってくださった方は、ご連絡いただけますと幸いです。たくさん勉強させてください。

金山駿太

COO/YouTube責任者

金山駿太

元教諭。ハイボールHD取締役COO / TANSAN CEO

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